痔に悩む人は3人に1人と言われ、症状に出ない方まで含めると、成人の半数が痔であると考えられています。
しかし多くの場合、皆さん病院への受診をためらいがちです。
おしりの診察が恥ずかしいという気持ちと、治療が痛いのではないかという怖さがあるからです。
当クリニックでは、「恥ずかしさ」に十分配慮して診察します。
そして納得いただけるまで十分に説明し、できる限り痛みのない治療を心がけます。
院長は、日本消化器外科学会の専門医・指導医として長年、肛門疾患の診療を行って参りました。おしり周りで次のような症状があれば、一度ご相談ください。
肛門部の血行が悪くなり血管が膨らんで大きくなります。
肛門の内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核といいます。
病状が進むと、出血、脱出、痛みといった症状が出ます。
痔核の多くは注入軟膏薬、内服薬治療などの薬剤や生活習慣の改善で治りますが、症状が重い場合や脱肛状態が戻らない場合には手術が必要です。
痔核の手術として一般的なものは、痔核を直接切除する結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)です。その他にもPPH法や輪ゴムで痔核を縛り壊死させて脱落させる、ゴム輪結紮法も行われます。新しい治療法としてALTA(ジオン)療法があります。これは痔核を切除せずに薬剤の注射で縮小させ、症状の改善をはかる方法です。
従来の痔の手術法では長期入院が当然で、まとまった休みをとれない人はなかなか手術を受けられずに悪化させてしまうこともありました。現在は切除しない手術やジオン注射の活躍により、1週間程度の短期間入院で済む人が多くなっています。また、切除範囲や個数によっては日帰りでできる場合もあります。
硬い便の排泄や下痢によって肛門が切れるものを切れ痔といいます。
女性に多い疾患です。特に20~40代に好発します。
排便時の痛みがあり、排便後にもジーンとした痛みが続きます。
慢性化すると、肛門が狭くなり便が通りにくくなります。
食生活や排便習慣などのライフスタイルを改善して、痔の症状を悪化させないようにする生活療法が中心です。補助的に薬物療法も行います。
直腸と肛門との境目から菌が入り込み化膿することで、肛門の周囲に膿だまりができることを肛門周囲膿瘍といいます。膿瘍(膿だまり)が皮膚側に破れると膿みが出て直腸、肛門の中と皮膚とをつなぐ細いトンネルができます。これを痔瘻といいます。
肛門周囲膿瘍の治療の原則は切開・排膿です。また抗菌薬を投与します。
痔瘻の自然治癒はまれで,基本的には手術が行われます。痔瘻の型により,根治性と機能温存を考慮した手術が行われます。長期間、痔瘻の状態を放置しておくと、トンネルが何本もできて複雑痔瘻と呼ばれる状態になります。この場合、専門施設での入院治療が必要です。
女性は痔になりやすいということをご存じでしょうか?
女性は黄体ホルモンの影響で、大腸の腸壁から便の水分が吸収されるため、便が硬くなって便秘になりやすい傾向があります。
また女性は、男性よりも冷え性の方が多く、薄着で過ごしたりするので、肛門周辺の血流が悪くなり、痔を招いてしまうことがあります。
妊娠中は、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮が、直腸や肛門部を圧迫することで、うっ血をきたし、痔になりやすくなります。妊娠中に痔になったという女性の多くは、妊娠前からもっていた痔が悪化したケースです。痔の自覚症状がありましたら、できれば妊娠前に受診をお勧めします。
おしりの診察は乳房の診察同様、恥ずかしいと思われるかも知れません。
当クリニックでは、カーテンで仕切られた診察台で、バスタオルをかけて、女性スタッフとともに診察するなど、女性の気持ちに配慮した診察を心がけていますので、どうかご安心ください。
ALTA(ジオン)注射療法とは「いぼ痔:脱出を伴う内痔核」に対して、薬剤を注射することにより、切らずに行う治療です。ジオン注射療法は、内痔核治療法研究会で講習を受けた医師のみができる手技です。従来の切る手術に比べ痛みが少なく、切る手術と同じくらいの効果が期待できます。